資産運用コンサルティング

実績と経験を基に、
“お客様と共に歩むコンサルティング”を
実践しています。

資産運用の実践に当たっては、リターンの追求とリスクテイクの適切なバランスが重要な課題となります。

当社では、個々のお客様の運用目標に見合った適切な運用方針の実現に向け、資産配分、運用商品の評価・選定等、資産運用にかかる幅広い事項についてコンサルティングを行います。

併せて資産運用にかかるガバナンスの確立に向け、規程類の整備等、管理運営面についてもサポートいたします。

特色1

豊富なコンサルティング実績
特色2

顧客参画型コンサルティング
特色3

幅広い運用ニーズに対応する
ファンド評価

特色1

豊富なコンサルティング実績

（株）大和総研から通算して30年に及ぶコンサルティング実績
企業年金を中心に、様々な形態の顧客へのコンサルティングを実施
豊富な経験を持つコンサルタント（2024年4月1日時点）

・コンサルティング業務平均経験年数約11年

・運用関連業務経験年数平均約22年
総合コンサルティング実施先77件（2024年4月1日時点）

＜コンサルティング顧客の内訳＞

公的年金

1件

確定給付企業年金

59件

その他　

17件（財団・社団法人、学校法人、金融法人、事業法人等）

特色2

顧客参画型コンサルティング

お客様との密接なコミュニケーションに基づき、個々のお客様との協働で運用方針等の検討を行う「顧客参画型」コンサルティングが基本理念
お客様との長期かつ継続的な関係構築を基本姿勢とし、長期に及ぶ信頼関係を構築（平均契約年数約11.4年、2024年4月1日時点）
資産運用にかかる規程類の整備、会議の運営サポート等、幅広いニーズに対応

特色3

幅広い運用ニーズに対応するファンド評価

市場の変化を見据えたファンドの評価、調査を実践
株式、債券等の伝統的資産に加え、オルタナティブ資産も含めた広範な評価ユニバース
上記の評価を背景に、幅広い運用ニーズに対応

当社のファンド評価について

コンサルティングのイメージと主なコンサルティング項目

コンサルタントレポート

■コンサルタントの眼

本レポート「コンサルタントの眼」は、資産運用に関連する事項を中心に、幅広い事項について弊社コンサルタントが情報発信することを目的に発刊いたしました。
今後、定期的に発行を予定しておりますので、どうぞご期待ください。
レポート全文をご希望のお客様は、弊社担当者へご連絡ください。

マルチアセット戦略再考のとき　（No.39　2024年1月25日）

▶エグゼクティブ・サマリー

米欧の相次ぐ利上げなどを受け、近年の債券市場は下落基調で推移、株式市場は金融政策を巡る思惑から上下に振れる展開が続いてきた。経済環境が大きく変化する中でマルチアセット戦略には、適切な環境判断と的確な投資行動を通じた絶対収益の獲得が期待されたが、不芳なパフォーマンスに終わるファンドも少なくなかった。
そこで本稿では、マルチアセット戦略の商品性を踏まえ、年金スポンサーなど機関投資家が当該戦略に投資する意義や期待役割をあらためて整理してみたい。なかではマルチアセット戦略が中長期的に果たしてきた過去の役割を検証し、今後の対応をも考察する。なお、本稿の意見に関する部分は筆者の私見に過ぎず、当社など所属する組織の見解を示すものではない点に留意いただきたい。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　三吉　康雄

2024 年の年金運用における論点　（No.38　2024年1月9日）

▶エグゼクティブ・サマリー

市場関係者にとって、昨年 2023 年はどのように総括できる年であっただろうか。全体的には概ね、堅調な株式市場と円安に支えられた、良好な市場環境だったと評価できよう。しかし、部分的には国内外の金融政策を巡る不透明な局面も散見された一年だったのではないか。
2023 年も一昨年と同様、国内外の金融政策動向が市場に強い影響を与えた年であったことに変わりないが、特に年末にかけて様相が異なった点が二つ挙げられる。一つは、海外における金融政策の関心事が「政策金利のターミナルレートと到達時期」から「利下げの開始時期」に移行したこと。そしてもう一つは、日本においても金融政策の転換、即ち「マイナス金利の解除」が意識され始めたことである。特に、後者は本邦投資家にとって重要な意味を持つと言えよう。
こうしたなかで 2024 年を迎えるにあたり、今年の年金投資家が考慮すべきポイントを考察したい。本稿では、「国内金融政策のマイナス金利解除」および「海外金融政策の利下げ開始」を前提に、資産・戦略別に以下の４点について筆者の考えや展望を述べる。 1. 債券運用：ヘッジ外債の復調 2. 株式運用：国内株式の再評価 3. マルチアセット：再考局面 4. プライベートアセット：多様化
なお、本稿で用いている数値、データおよび参考とした情報は、2023 年 12 月下旬時点において入手した内容である。また、本稿の内容については、筆者個人の意見であり、弊社見通しとは必ずしも一致しないことに留意されたい。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　川崎　敦史

資産運用と統計学（3）下方リスク　（No.37　2023年11月10日）

▶エグゼクティブ・サマリー

一般に複数資産に投資を行う際には、資産それぞれの期待リターン、リスク（標準偏差）、相関係数を基に「目標となるリターンを達成するためにリスクを最小化する」あるいは「定められたリスクの範囲内で最大のリターンを求める」ための最適な資産配分が必要となる。
この場合のリスク、即ち標準偏差は平均値からのばらつきを示す量であり、リターンが平均値よりも下方に大きく乖離した場合に標準偏差は大きくなるが、逆に上方に乖離した場合でも同じく標準偏差は大きくなる。このように標準偏差によるリスク計算では、大きなプラスリターンを出す場合も、大きなマイナスリターンを出す場合も共に避けることが望ましいことになるが、実際の資産運用では損失の管理の方がより重要視されるのは直感的に理解できよう。
そこで、下方リスクつまり保有資産が損失を受ける可能性についても分析することが重要になる。下方リスクの考え方については多々あるが、以下では比較的シンプルで応用が効き易い「バリューアットリスク」について紹介する。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　小出　昌広

ライフプランニングに関する６つの係数　（No.36　2023年10月16日）

▶エグゼクティブ・サマリー

「人生100年時代」を迎え、社会の環境変化等に対応していくための「リカレント教育」や「リスキリング」など社会人の学び直しの必要性が強調されるようになって久しい。同じくらい「人生100年時代」のライフプランニング、なかでも金融経済に関する知識、投資や資産運用の理解等を学び直しの声も高まる一方だ。私的年金で年々存在感を増す確定拠出年金（DC）は加入者個々のライフプランニングと密接な関係があることから、年金運営の領域でも改めてこうした学び直しを考えることは重要だろう。
年金コンサルタントとして筆者個人も業務上、最低限の知識は持っていると考えていたが、立ち止まってみると忘れられた資産運用関連用語が少なからずあることに気づいた。そこで本稿では、忘れられがちな資産運用関連用語「ライフプランニングに関する６つの係数」を取り上げ、改めて理解を深める機会としたい。

年金運用コンサルティング部長　髙橋　知宏

プライベートエクイティ投資について考える　（No.35　2023年9月14日）

▶エグゼクティブ・サマリー

プライベートアセット投資では、一部にオープンエンド型ファンドの提供の動きがあるものの、典型的なプライベートエクイティ（以下、PE）投資を中心に、依然としてクローズドエンド型ファンドを通じての投資が主流であることに変わりはない。その際には例えば、同一シリーズのファンド群に継続して出資約束（コミットメント）することで、ポートフォリオを構築していくこととなる。
足下こうした継続的な投資手法を採用している企業年金では、PE資産クラスの構成比の高まりをうけ、次号ファンドへの出資を躊躇するケースも散見されるようになっている。こうした事態に接し以下では、クローズドエンド型ファンドのポートフォリオ構築に関して、改めてその考え方を整理して、対応の方向性に示唆を与えてみたい。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　前田　知則

ヘッジ付グローバル債券の論点整理　（No.34　2023年8月8日）

▶エグゼクティブ・サマリー

インフレ高進とそれに対応した米欧中央銀行の急速な利上げを背景に、ヘッジ付グローバル債券の2022年度のパフォーマンスは大幅なマイナスを余儀なくされた。株式との分散効果を期待して国内債券の代替資産といった役割を期待してきたが、少なからぬ年金スポンサーが影響を被ったことは記憶に新しい。足元でも米欧中央銀行のインフレ警戒感は依然強く、ペースこそ減速しているものの利上げ基調に変化はなくヘッジコストは更に上昇、為替ヘッジ後のキャリー（利回り＋ロールダウン効果－為替ヘッジコスト、金利水準が不変時の期待リターン）がマイナスになるヘッジ付グローバル債券ファンドが散見されつつある。リスクオフ局面での下支え効果の役割は引続き期待されているものの、期待リターンがマイナスのファンドを継続保有して良いものか悩ましい状況となっている。
そこで本稿では、ヘッジ付グローバル債券ファンドの現状を概観し、投資に当たっての論点整理をした上で今後の対応について考察する。なお、本稿で言及の意見に関する部分は筆者の私見に過ぎず、当社をはじめ筆者所属の組織の見解を示すものではない点に留意いただきたい。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　部長　三吉　康雄

大学ファンドの始動とその意義　（No.33　2023年7月14日）

▶エグゼクティブ・サマリー

2022年3月に資産運用が開始された大学ファンド（いわゆる「10兆円ファンド」）、その動向は多くの関係者の興味を惹き付けてきた。特に足下では同ファンドから支援を受ける国際卓越研究大学の選定が開始され、これまで大学の経営や資産運用について関係が薄かった向きの関心も徐々に高まりつつあるようだ。
大学ファンドとはどのようなものなのか、本編では大学運営の現状を照らしながら大学ファンドの仕組みを整理、概観し、その意義についても若干の考察を試みる。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　島倉　良知

顧客等の最善の利益を考えた業務運営について　（No.32　2023年6月9日）

▶エグゼクティブ・サマリー

2023年3月14日に、国会に提出された「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」のなかに「金融サービスの提供に関する法律」（以下、金サ法）が含まれており、成立により企業年金（運営者）に少なからぬ影響が及ぶ可能性が出てきた。
具体的に関心を寄せるべきは、企業年金（運営者）が多様な金融機関と同列に「金融サービス提供者」と定義され、「顧客等（加入者）の最善の利益を勘案しつつ、顧客等に対して誠実かつ公正に、その業務を遂行しなければならない」とされる点であろう。従来、主として銀行、証券会社や資産運用会社といった金融機関に課されていた誠実義務について、｢顧客等の最善の利益｣を勘案するという要素を加えた上で、企業年金運営者を含めた広域の関係者に適用するということになる。
本編では、この新たな規制動向について内容を整理し、今後の注目点等を概観する。なお、本稿で言及の意見に亘る部分はあくまで筆者の私見に過ぎず、当社をはじめ筆者の所属する組織の見解を示すものではないことを付言する。

年金運用コンサルティング部長　髙橋　知宏

生保一般勘定を巡る動向および今後の注目点(その3)　（No.31　2023年5月12日）

▶エグゼクティブ・サマリー

筆者はかつて、第一生命が予定利率引下げと共に一般勘定の受託を再開したタイミングで生保主要各社の一般勘定に関する考え方等を整理した。その後、最大手の日本生命も同様に予定利率引き下げと受託再開を実施、その機会を捉えた続編として運用実績を踏まえた生保主要各社における一般勘定の商品性、留意点等に関する考察を行っている。
本編ではさらなる続編として、これまでの動きに加え、昨年度の市場環境を踏まえた生保主要各社の一般勘定の動向や今年度運用計画を改めて整理、併せて今後の注目点について概観する。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　岩澤洋一

外国債券と為替ヘッジ　（No.30　2023年4月6日）

▶エグゼクティブ・サマリー

2022年は歴史的にみて厳しい運用環境であったと言えるが、多くの国内企業年金は円安の恩恵により、致命的なダメージまでには至らなかった。一方で、為替ヘッジを行っている場合、特に外国債券投資は想定外の大幅なマイナスリターンに陥った。加えて、ヘッジコストの上昇も重なり対応に悩まされた企業年金も少なくない。以下では外国債券（為替ヘッジ有無）に関する中長期特性や足元の状況を改めて点検し、ポートフォリオにおける役割や今後の対応の方向性を確認する。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　峰　佳裕

GPIF運用に見る確定拠出年金運用への示唆　（No.29　2023年2月28日）

▶エグゼクティブ・サマリー

2022年は年間を通して、世界的なインフレと中央銀行の利上げを嫌気し、いわゆる伝統的資産である内外株式、内外債券はいずれも大きく調整した。そうした中、2023年2月3日に、年金積立金を運用する独立行政法人であるGPIF（年金積立金管理運用独立行政法人）が運用する公的年金積立金の2022年度第3四半期（10-12月期）の運用状況が公表された。期間収益率は▲0.97％、収益額は2022年9月末対比で1兆8530億円の減少となっている。
マスメディアの報道では、期間収益がマイナスであることを大きく取り上げ、2022年1-3月期から4四半期連続の赤字と囃し立てている。実際、年金運用は過去1年間程度の実績で評価しても全く意味はない。
結果としては、2022年は分散投資効果が機能しなかったといえるものの、長期間で見た場合の分散投資効果を改めて確認し、確定拠出年金への示唆があるかを確認する。なお、本稿で用いている数値、データおよび参考とした情報は、2023年2月下旬時点において入手した内容である。また、本稿で言及している内容については、筆者個人の意見であり、当社の見解とは必ずしも完全に一致しない。

年金運用コンサルティング部長　髙橋　知宏

為替の概況と為替理論について　（No.28　2023年2月6日）

▶エグゼクティブ・サマリー

2022年は年間を通してドル円を中心とした為替レートが大きく変動した一年であった。多くの投資家が運用収益に対して為替の影響を受けたと思う。現在の運用において、国内資産への投資は勿論のこと海外資産への投資も重要であり、今後の国内市場、海外市場の成長性等を鑑みると、海外資産への投資はますます重要となっていくと思われる。
為替は投資対象として取り扱うには難しい面があるものの、海外投資に伴う重要なリスク源泉の一つであり、無視することはできない。そこで本稿では、為替の基本的な事項といくつかの為替理論について紹介する。
単に為替といった場合、国内の債権・債務の決済である内国為替と、異なる通貨間の決済・通貨の交換である外国為替に分けられる。本稿では外国為替について取り扱う。

年金運用コンサルティング部　コンサルタント　小出　昌広

2023年以降の年金運用における論点　（No.27　2023年1月4日）

▶エグゼクティブ・サマリー

市場関係者にとって2022年という年は、金融政策の転換を背景とした金利上昇に苦慮した一年であったと記憶に残る年になるだろう。コロナ禍からの回復によるリスクオン相場から一転、2022年は米国をはじめとした主要国の金融政策動向をうかがう神経質な展開が続いた。その結果、市場のニュースフローや要人発言に市場が過度に反応する変動性の高い市場環境であった。近年例を見ない市場変動性の高さは、市場の不確実性に対する投資家心理の現れともいえる。
さて、2023年を迎えた現在の市場環境を見据えた上で、年金投資家が注目すべきポイントは、以下の5点に集約することが出来ると考える。
①主要中央銀行の金融政策動向
②資産間の連動性
③低流動性資産の活用
④一般勘定の予定利率動向
⑤ESG的観点による運用戦略の検討
なお、本稿で用いている数値、データおよび参考とした情報は、2022年12月下旬時点において入手した内容である。また、本稿で言及している内容については、筆者個人の意見であり、当社見通しとは必ずしも完全に一致しない。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　川崎　敦史

株式投資に関する考察　（No.26　2022年12月7日）

▶エグゼクティブ・サマリー

2022年のグローバル株式市場は、前年までの堅調な推移から一転し、急速なインフレ高進を背景とした各国中央銀行による相次ぐ利上げを嫌気して年前半にかけて調整した。近年では、市場参加者の様々な思惑からグローバル株式市場が一方向に振れる場面が散見され、アクティブ運用者にとって継続的にアルファを獲得することは容易ではない環境であると推察される。また、投資家としても、上場株式はボラティリティの高さから忍耐を要する資産クラスであるといえる。本稿では、長期的な観点から株式リターンの収益源泉を分析し、投資機会と魅力について再考する。なお、本稿で言及する内容は、筆者個人の意見であり、当社の見解とは必ずしも一致しない。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　三吉　康雄

損害保険戦略の魅力度を再考する　（No.25　2022年11月14日）

▶エグゼクティブ・サマリー

保険料収入を収益源泉とする保険戦略は、金融市場との相関が低いと言われている。そのため、分散投資の観点や国内で提供される戦略数が多いこと等を理由に、損害保険戦略は日本の年金投資家向け運用商品の一つとして選ばれてきた。しかし、2017年～2018年に複数の大型ハリケーン、山火事といった災害が多く発生し、パフォーマンスが悪化した。その後、保険料上昇によってパフォーマンスが改善するも、2022年は大型ハリケーンの発生により足元では大きいドローダウンが生じている。
近年、ボラティリティが増大している損害保険戦略について、商品特性や動向について確認し、その魅力度を再考する。

年金運用コンサルティング部　コンサルタント　柴田　宗治

オープンエンド型プライベート・エクイティ・ファンドについて　（No.24　2022年10月14日）

▶エグゼクティブ・サマリー

プライベート・エクイティへの投資はクローズドエンド型ファンドが中心であったが、足元、オープンエンド型ファンドの提供が増えてきている。オープンエンド型プライベート・エクイティ・ファンドについて、その特徴をクローズドエンド型ファンドとの対比でつかむとともに、留意点を確認する。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　前田　知則

プライベートアセット投資について考える（その2）　（No.23　2022年9月9日）

▶エグゼクティブ・サマリー

近年、企業年金をはじめとした機関投資家においてプライベートアセット投資に対する注目が高まっており、コンサルタントの眼No.11（2021年6月30日）において、当社クライアントのプライベートアセットの投資状況や、課題などについて紹介した。
本稿では続編として、クローズドエンド型のプライベートアセットファンドの残高やキャッシュフローの視点で、特徴を整理する。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　島倉　良知

金利上昇局面における円債投資の意義　（No.22　2022年8月22日）

▶エグゼクティブ・サマリー

2020年、新型コロナウイルス感染拡大を受け、各国中央銀行は急速かつ大規模な金融緩和政策を実施した。その後、ワクチンの普及等により経済活動は急速に正常化に向かったものの、その過程において需要の急回復に伴う資源価格の高騰やサプライチェーンの不全等を伴った結果、インフレという新たな課題を生み出した。
そして、近時において世界各国はインフレ対策を目的とした金融引き締め策を本格化させており、特に米FRBの動向に世界の注目が集まっている。目下の市場の関心事は「次の政策金利の引き上げ幅」と「利上げを終了する政策金利水準」に集約されており、市場ではその解を探る神経質な展開が続いている。
このように、主要国の金融政策は緩和から引き締めへと大きな転換点を迎えている一方、日本においてはコロナ禍前から続く強力な金融緩和政策が今もなお継続しており、その転換の兆しすら見えていない。日本は、主要各国とは一線を画す独自路線を歩んでいると言っても良いだろう。
本稿では、各国の金融政策の差異によりもたらされる市場環境の変化が、債券投資においてどのような投資機会を与え得るのか。特に、日本の金融政策や円債市場の特異性が国内債券運用においてどのような効果をもたらすのか、より実践的な観点で整理する。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　川崎　敦史

生保一般勘定を巡る動向および今後の注目点(その2)　（No.21　2022年7月11日）

▶エグゼクティブ・サマリー

第一生命が一般勘定の予定利率を1.25％から0.25％へ引き下げた2021年10月に「生保一般勘定を巡る動向および今後の注目点」として生保主要各社の一般勘定の動向（運用利回り、配当還元に対する考え方等）について整理し、今後の注目点について考察を行った。その後、最大手の日本生命が予定利率0.50％の一般勘定（一般勘定プラス）を新規受託開始、2023年4月より既存の一般勘定の予定利率を0.50％に引き下げる等の動きがあった。
本稿では、続編として2021年度の運用実績を踏まえた生保主要各社の一般勘定の動向、特に2022年4月より新規受託を開始した日本生命の「一般勘定プラス」について、商品性や留意点等を整理し、今後の注目点について考察する。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　岩澤洋一

資産運用と統計学（2）偏相関係数　（No.20　2022年6月8日）

▶エグゼクティブ・サマリー

前回、データ間の関係性を定量化できる有益な分析ツールとして「相関係数」を紹介したが、その際に分析上の留意点として擬相関(見かけ上の相関)について言及した。実際、因果関係がなくとも2つのデータ間の「相関係数」が大きくなることがままあるが、その理由として、それら2つのデータと関連の強い第3のデータが背後で大きく関与している場合などが挙げられる。この場合に観測される2つのデータ間の相関を擬相関と呼ぶわけだが、本稿では、第3のデータの影響を除去した「偏相関係数」について紹介するとともに相関関係に対する理解を深める。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　髙城一也

最小分散戦略の評価と留意点　（No.19　2022年4月6日）

▶エグゼクティブ・サマリー

最小分散戦略は低リスクの株式運用として一定の存在感があり、年金スポンサーでも採用の多い戦略の一つである。市場悪化時の下落リスクを抑制しつつも、ある程度のリターンが期待できる戦略として一定の評価を得ている。一方、ここ数年、期待と異なるパフォーマンスが散見されるようになっており、評価に悩む年金スポンサーも少なからずいるのではないか。
本稿では、改めて最小分散戦略の概要や特徴を確認し、評価方法や留意点について簡単な事例も交えて整理する。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　峰　佳裕

東京証券取引所の市場区分見直しとその影響　（No.18　2022年3月4日）

▶エグゼクティブ・サマリー

2022年4月4日から東京証券取引所（以下、東証）において、市場区分の見直しが実施される。同年1月11日に東証は上場企業各社の市場区分選択結果を公表した。本稿前半では、市場再編の目的や概要を説明し、後半では市場区分見直しが与える影響を考察する。

年金運用コンサルティング部長　髙橋　知宏

為替ヘッジの適切な掛け方およびその影響について　（No.17　2022年2月4日）

▶エグゼクティブ・サマリー

年金基金の運用において、伝統資産や生保一般勘定での運用が未だ主流ではあるものの、それ以外の運用、所謂オルタナティブ投資の重要性が増している。オルタナティブ投資は、投資資産や運用手法に多様性があり、それが魅力の一つとなっている。一方で、その多様性故に、投資先が国内籍の運用ファンドに留まらず、外国籍の運用ファンドに投資を行うことも多々ある。当然のことながら、外国籍の運用ファンドに投資を行うと為替リスクを負うが、その一方で年金基金には為替リスクを避けるニーズもあり、オルタナティブファンドに為替ヘッジを行うことも多い。
多くの場合、単に「為替ヘッジを掛ける」（または、為替ヘッジを行う）とのみ言及するが、それはファンドの収益率から適切に為替の影響を除去しているのだろうか。筆者の知る限りでは、「為替ヘッジを行っている」オルタナティブファンドでも為替の影響が残っている事例が存在する。
本稿では、どのような場合が為替の影響を除去しており、どのような場合が除去していないのかを論じた後に、シンプルなモデルを用いてその定量的な影響について整理する。
なお、本稿では、為替ヘッジの実務や技術論については議論しないため、為替ヘッジコストを負担して為替ヘッジを掛けると完全に通貨の影響を除去できるものと仮定する。

年金運用コンサルティング部　コンサルタント　小出　昌広

為替ヘッジコストの推移および為替ヘッジに対する基本的なスタンス　（No.16　2022年1月11日）

▶エグゼクティブ・サマリー

外貨建て資産に投資をする際、為替の影響を回避するために為替をヘッジする場合が多い。その際にはコストが必要であり、為替ヘッジコストは「金利差要因」と「需給要因（ベーシスコスト）」に分けることができる。主要通貨である米ドルとユーロに対する日本円の為替ヘッジコストはコロナショック以降では低位にあることから、例えば、国内債券の代替としてヘッジ外債を活用することなどの効用は相応に高いと考えられる。しかし、米国などで利上げ観測が高まっていることや、市場ショック時に通貨間の需給関係が崩れることで為替ヘッジを行うための調達コストが高まる恐れがあることなどから、為替ヘッジコストが現在の水準であり続ける保証はない。ここでは、過去の主要通貨における為替ヘッジコストの推移を確認するとともに為替ヘッジに対する基本的なスタンスおよび資産運用における為替管理の選択肢などについて整理する。

年金運用コンサルティング部　コンサルタント　柴田　宗治

マルチアセット戦略に期待される役割　（No.15　2021年11月5日）

▶エグゼクティブ・サマリー

昨今、年金資産運用におけるマルチアセット運用戦略の存在感が増している。
戦略自体は、バランス型運用の代替、もしくはその延長線上にある商品として、企業年金基金等の年金投資家には以前から広く認知されていた。
その後、低金利環境の長期的による債券運用の収益性低下や金利の反転リスクが強く意識され始めた2010年代前半頃にかけ、伝統資産との低相関性や収益の安定性が期待出来る戦略として注目を集め、運用手法の高度化や投資対象資産の拡大等、提供される商品にも多様性がみられるようになった。
そして、足元ではコロナ禍による市場急変の経験や、一般勘定における予定利率の引き下げが現実となったことも相まって、マルチアセットに対する期待は一層増していると考えられる。
本稿では、マルチアセットの戦略特性や期待される役割等を整理した上で、商品選択時やモニタリング時の留意点について、筆者なりの所見をまとめる。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　川崎　敦史

生保一般勘定を巡る動向および今後の注目点　（No.14　2021年10月8日）

▶エグゼクティブ・サマリー

第一生命が10月より一般勘定の予定利率を1.25％から0.25％へ引き下げ、同時に引き下げ後の受託を再開した。現時点では生保他社に追随の動きはなく、年金基金等が利回りの安定化に重要な役割を果たしている一般勘定を見直す動きは限定的である。一方、今後の市場環境や新しいソルベンシー規制の導入等により、予定利率引き下げの可能性は高く、一部には解約して他の資産(商品)に振り向ける動きも出ている。また、生保各社の配当に対する考え方の違いがより鮮明となり、予定利率とともに今後の対応を注視する必要がある。
本稿では、生保主要各社の一般勘定の動向（運用利回り、配当還元に対する考え方等）について整理し、今後の注目点について考察する。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　岩澤　洋一

資産運用と統計学（1）相関係数　（No.13　2021年9月6日）

▶エグゼクティブ・サマリー

現代は客観的な事実に基づき決定し、行動する姿勢が求められる時代と言える。統計学はそのような時代において、非常に有益な知識/ツールの1つとして挙げられる。実際に統計学の適用範囲は物理学などの自然科学のみならず、経済学などの社会科学、心理学や言語学などの人文科学、工学や医学といった応用科学まで多岐に亘っている。もちろん資産運用の実務においても、統計学は必要不可欠なものとなっていることは論を俟たない。今後、資産運用と統計学に関連する興味深い話題を複数回に分けて紹介する。本稿では、データ間の関係性を定量化できる非常に有益な分析ツールである「相関係数」と分析上の留意点について整理する。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　髙城一也

国内債券アクティブ運用のススメ　（No.12　2021年8月5日）

▶エグゼクティブ・サマリー

低金利環境を背景とした国内債券運用への懸念が台頭して久しい。昨今では金利上昇リスクに代わり期待リターンの低下が課題にあげられることが増えた。これに対応すべく企業年金においてはこれまで多様な取り組みを行ってきた。こうした検討は今後も継続して検討すべきではあるが、予定利率や財政状況を踏まえた上で、まずは低金利環境対策の必要度合を確認する。
国内債券でのアルファ追求は劇的な効果が見込み難いことから検討課題にあがりにくい。しかしながら、足元では比較的確からしい効果が見込め、留意点の少ない選択肢でもある。低金利環境への次の対応として、原点回帰で国内債券アクティブ運用を再考する余地があるだろう。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　峰　佳裕

プライベートアセット投資について考える　（No.11　2021年6月30日）

▶エグゼクティブ・サマリー

近年、企業年金ではプライベートアセット投資を拡大させる傾向が顕著である。プライベートアセット投資は企業年金のような長期投資家に親和性があると考えるが、実際に投資する場合には様々なハードルがあるのも事実である。
本稿では、企業年金におけるプライベートアセット投資の現状を整理し、プライベートアセット投資における課題と対応を明らかにした上で、これからプライベートアセット投資を検討する企業年金に望ましい運用戦略を考える。また、プライベートアセット投資において、ポートフォリオ管理を着実にこなしていくために、ゲートキーパー活用の有効性を提言する。

資産運用コンサルティング本部長　髙橋　知宏

リバランスの定量的効果について　（No.10　2021年6月7日）

▶エグゼクティブ・サマリー

一般的に企業年金の資産運用は、大きく分けて①政策資産配分の決定、②運用ファンドの選定及び運用委託、③政策資産配分からの乖離の修正（リバランス）、という三つの行動に分けることができる。
その中で政策資産配分の決定やファンド選定・運用委託については、総幹事やコンサルティング会社からの助言、資産運用委員会での議論など、各々の企業年金の実情に合わせて綿密に分析を行っている。その一方でリバランスについては、リバランスを実施すること自体は論をまたないものの、どの程度の効果があるかについては、定量的に検証されることが少ない。
そのため、本稿ではリバランス条件（許容乖離幅）を変更することで、リスク（標準偏差）と年間のリバランス数がどのように変化するのかを過去データを用いたシミュレーションを行い、実行可能で適切なリバランス条件について検証した。
その結果、リバランス条件を厳しくすればするほどリスクは漸減するが、政策資産配分からの許容乖離幅4％以下のリバランス条件であれば、毎月リバランスを行った場合と近い水準のリスクとなることが分かった。なお、このリバランス条件であれば、平均リバランス数は年間1回以下であるため、実務上でも実行可能であると思われる。

年金運用コンサルティング部　コンサルタント　小出　昌広

浸透するオルタナティブ投資について考える　（No.9　2021年5月7日）

▶エグゼクティブ・サマリー

オルタナティブ投資には伝統的資産の運用には見られない仕組みや複雑なリスクが存在するが、低金利環境の長期化など年金基金の運用難を背景に、運用対象の多様化、収益の上乗せを狙うことなどにより、その投資が進んでいる。投資資産の中身は多様であり、流動性が低く、情報開示は限定的、即時の時価評価が難しいなどデメリットも多く、分散投資の追求もさらに必要となってきている。本稿では、オルタナティブ投資の実施状況について確認し、その投資に対して今後どのような対応が相応しいのか考えていく。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　福盛　明英

世界の公的年金のプライベートアセットへの投資状況　（No.8　2021年4月6日）

▶エグゼクティブ・サマリー

低金利環境が続く中、債券の期待リターン低下を補うためにオルタナティブ投資の対象を拡大させてプライベートアセットを組入れる年金基金が増加している。伝統資産との収益源泉が異なるプライベートアセットへの関心は高まる一方、最適な保有比率については議論の余地が残る。そこで、世界の公的年金上位100のポートフォリオを基にしたアセットアロケーションからプライベートアセットへの投資状況を確認する。

年金運用コンサルティング部　コンサルタント　柴田　宗治

生保一般勘定予定利率引き下げについて　（No.7　2021年3月5日）

▶エグゼクティブ・サマリー

生保一般勘定予定利率引き下げに関する論点として、①期待リターンの低下を許容、②期待リターンの低下を防ぐために運用体制を見直す、ことがあげられる。②については、一般勘定が独立した資産と独立した資産ではない(国内債券代替等)場合とで対応が分かれる。
国内債券の期待リターンが低いこともあり、今後の生保各社の動向にもよるが仮に各社とも0.25％に引き下げたとしても市場リスクがないといった点も含めて、活用の余地はあると考えられる。一方、今後の金利動向によっては解約に係るコストが想定以上になる可能性があり、留意が必要である。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　岩澤　洋一

CDI（Cashflow Driven Investment）の概要　（No.6　2021年2月5日）

▶エグゼクティブ・サマリー

昨今、企業年金制度は成熟化が進んでおり、給付金が掛金を上回るいわゆる給付超過の傾向にある。また、確定給付型企業年金(DB)から確定拠出型企業年金(DC)への移行などを背景に、閉鎖型確定給付企業年金も散見される。特に成熟化の進んでいる英国を中心に欧州では、年金負債のキャッシュフローを強く意識したポートフォリオ構築手法、CDI(Cashflow Driven Investment)が広まっている。本稿では、CDIを概説しながら、顧客事例について紹介する。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　中村　洋輝

スマートベータ投資の意義　（No.5　2021年1月7日）

▶エグゼクティブ・サマリー

従来、パッシブ運用の投資手法は時価総額加重インデックスに連動することを目的とした運用が主流であったが、昨今では時価総額とは異なる基準により定められた銘柄構成比率に基づき算出される指数に連動することを目的とした運用手法（以下、「スマートベータ投資」）が広がりを見せている。本稿では、スマートベータ投資の目的を整理するとともに、その留意事項について筆者の考えをまとめた。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　川崎　敦史

年金バイアウトの日本へのインプリケーション　（No.4　2020年12月9日）

▶エグゼクティブ・サマリー

確定給付型の企業年金制度(以下「DB年金」)におけるリスク削減(De-Risking)手法の選択肢のひとつとして、年金バイアウトの英米における本格的な普及は周知のこととなっている。わが国でも厚生労働省における社会保障審議会の企業年金・個人年金部会(以下「年金部会」)で議論されるなど、徐々に年金バイアウトに対する関心が高まっている様子が窺える。本稿では、日本と英米のDB年金を取り巻く環境を比較しながら、わが国で年金バイアウトを導入する場合の論点について整理する。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　髙城　一也

英国における年金バイアウトの現状　（No.3　2020年11月4日）

▶エグゼクティブ・サマリー

年金バイアウトとは年金スポンサーである企業が一定の手数料(以下「バイアウト・プレミアム」)を支払うことによって、確定給付型の企業年金制度(以下「DB年金」)におけるリスクを保険会社などの第三者に移転する仕組みのことを指す。英国では2005年頃から始まり、年金規制(積立基準)の強化/会計基準の変更/マクロ経済や人口動態の変化などを背景に本格的な普及に至っている。本稿では、年金バイアウトの仕組みや位置付けを概説しながら、英国の現状について整理する。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　髙城　一也

ESG投資の課題　（No.2　2020年9月7日）

▶エグゼクティブ・サマリー

ESG投資は特に「受託者責任との関係」が議論となる事が多く、十分に整理された状況とは言えない。現時点ではリスク・リターンを重視した取り組み姿勢で臨みたい。ESGの活用方法として、「ファクターとして活用する方法」や「アクティブ運用に活用する方法」等が挙げられる。いずれの活用方法においても、ESGに対してリスク・リターンを考慮した考え方を整理し、継続的な取り組みを行いたい。

年金運用コンサルティング部　シニアコンサルタント　峰　佳裕

コロナ禍を受けての低流動性資産投資　（No.1（創刊号）　2020年8月3日）

▶エグゼクティブ・サマリー

コロナ禍による運用環境の不透明感が高まる中、年金基金においても近年重要性が増しつつある低流動性資産投資に関しても、今後の対応について改めて議論される機会が増えると思われる。この議論においては、まず第一に低流動性資産投資の意義と目的という原則を再認識のうえ、今回の環境変化の教訓として、改めて「分散」の重要性を再確認することが肝要である。

年金運用コンサルティング部長　三田部　充

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